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特別インタビュー企画

代表取締役

「ラマダホテル新潟」代表取締役・小杉秀一が、さまざまなゲストにインタビュー。彼らとの対話を通して“新潟の伝統・芸術・観光を未来につないでいくために必要なことは何か?”を探ります。

「新潟の発酵 & 観光の未来」

沼垂ビール株式会社

第1回目のゲスト、高野氏が運営する「沼垂ビール株式会社」では、ビール酵母の自然の働きで発酵・熟成を行い、無加熱・無ろ過で造った製品を製造・販売しています。これまでのビールの造り方や味わいを変える、新潟らしいクラフトビールの開発に力を注ぐ、高野氏のモットー、そして彼が思い描く新潟の将来像とは?

沼垂の背景と歴史

―― “醸す街”としてブランディングされた沼垂地域。その歴史や観光地としての可能性を教えてください。

明治の終わり頃には8軒の酒の醸造所があり、味噌・醤油を造っていた醸造所も30軒あったといいます。私が小さかった昭和30年代でも、今も操業している今代司さん(「今代司酒造株式会社」)や越の華さん(「越の華酒造株式会社」)のほかに、(新潟市中央区)東竜が島には小松原醸造所(現「津南醸造株式会社」)がありました。通っていた「沼垂小学校」の帰り道にはいつも今代司酒造さんの建物から噴き出す日本酒を造る際の水蒸気を目にしていましたし、野村味噌さんや堀川味噌さん(「堀川醸造株式会社」)の味噌蔵独特の香りが漂っていました。その風景は沼垂らしさを物語っていたと思います。

今では味噌を造っているのは3軒(峰村さん(「株式会社峰村醸造」)、坂豊さん(「株式会社坂豊商店」)、百川さん(「百川味噌株式会社」)で、納豆メーカーは1軒ですが、みなさん頑張っています。平成の時代も終わろうとし高度成長から成熟社会に変わっていくなか、沼垂に伝わる発酵食品という地場産業を大切にすることは、大いに意味があることです。

また観光地としてみた場合、沼垂は新潟駅から歩いて1キロというアクセスの良さと、江戸・幕末・明治と積み重ねてきた独自の歴史や昭和の面影が残る街並みがありますから、観光スポットとしてのパワーは十分にあると考えています。

きっかけ

―― それでは次に、古くから発酵に携わる街・沼垂地域で「沼垂ビール」を造ろうとしたきっかけをお聞かせください。

クラフトビールも発酵食品の一つですし、ちょうど醸造を開始した2016年頃はクラフトビールブームが到来していましたから、“発酵の街・沼垂”のビールとして地域性を打ち出したビール醸造にビジネスの可能性を感じました。
それと、今までの比較的規模の大きい、いわゆる地ビールメーカーと違って、当社の醸造スペースはわずか11坪。マイクロブルワリーと呼ばれる小規模醸造所です。規模が小さいから空き店舗などを活用して小資本で立ち上げができ、沼垂のような駅から近い街中でも、クラフトビールが作れると思いました。加えて、規模が小さいということは、1回の生産ロットが小さいということ。その分いろいろな種類のクラフトビールが作れるわけです。

規模は小さいけれど、無加熱・無ろ過・自然熟成で造るコクのあるフレッシュなクラフトビールは、大手さんが造るビールとはまったく違った味わい。新潟市の名産品として育てていくことができるのではないか?と考えた次第です。

新たな展開

―― では、「沼垂ビール」の今後の展開はどのように考えていらっしゃいますか?

おかげさまで、無加熱・無ろ過・自然熟成の“本物の生ビール”としての味が、消費者の方に理解いただけるようになりました。これからもより多くの新潟市内の飲食店さんや、クラフトビールを愛する新潟市民、そして新潟を訪れる人たちに、その味を楽しんでもらえるよう取り組んで参ります。

現在は8種類のクラフトビールを造っていますが、今後は季節に応じた限定スタイルのビールも開発する予定です。また、これまでには長野県松本市でライ麦を栽培されるパン屋さんとのコラボレーションによる「信州の恵みライ麦ビア」や、新潟県産コシヒカリを使った「コシヒカリ・ヴァイツェン」といった製品を展開してきました。このように各地の特産品とタッグを組んだ新製品もどんどん開発していきたいですね。

アピールポイント

―― 次に、県内外の方に向けた沼垂地域のアピールポイントや施策を教えてください。また、それらで大切なことは何でしょうか?

かつての「沼垂寺町市場」(「沼垂の朝市」として1721年に市が立ったと「中蒲原郡誌」に記載されている。1955年に寺町堀という埋立地に移転)は、2010年頃から「沼垂テラス商店街」として再生を始め、毎月第一日曜にあるイベントには、たくさんの人が訪れるようになりました。また、味噌を手掛ける峰村醸造さん(「株式会社峰村商店」)や、先ほど話に出た今代司さんも、地域ブランド強化に力を入れるようになり、地元団体との連携による「発酵・大醸し祭り」を春夏の年2回開催するまでになりました。もちろん、「沼垂ビール」もその会場で、製品を提供させてもらっています。この秋の開催では2日間で約2万人の来場者があったそうですよ。

また、地元で長年頑張っている市民集団「なじらね沼垂」さんによる「水と土の芸術祭」などのアートプロジェクトも展開しています。さらにゲストハウスの開業など、古い街並みのなかで新しい取り組みが次々と生まれています。その影響でしょうか、最近では各醸造所も「沼垂テラス商店街」も、休日には街歩きを楽しむ市外・県外からのお客様でにぎわっています。

キーワードは「手作り」

これに伴い、2017年3月には、沼垂地域の主要メンバーが集まり新潟市から支援を受け、「沼垂まちあるきMAP」を作成しました。新潟駅前の観光案内や各ホテルに置かせてもらい、JR東日本の新潟観光ガイドの冊子にも紹介してもらったので、その効果は着実に表れています。

沼垂には大型の観光施設や商業ゾーンはありませんが、歴史ある古い街並みとそこで暮らす人たちの生活感、大きなお寺や昭和レトロな雰囲気がおしゃれな店、そして弊社のクラフトビールなどがあります。それらが連携をより強くし、外部の人たちの力も借りて、手作りベースで“沼垂の街の魅力”を高めていきたいと思います。これらを進めるに当たってのキーワードは、“手作り”まさに“クラフト”です。
小規模で行う丁寧なものづくりであれば、お客様一人ひとりに丁寧な対応ができます。それを地域全体で行うことが、観光を成立させるために必要だと思います。

新潟の観光

また、日本海、信濃川、阿賀野川、おいしい米と酒、多彩な食材など、新潟県には楽しみがたくさんあります。「沼垂ビール」のブルワリーに隣接するビアパブには、県外からお客様がたくさんいらっしゃっいますが、実はその方たちよりも地元で暮らす人たちの方が、土地の魅力に気付いていません。
新潟県の観光強化を進め、もっと県外から観光客の方に来てもらうためには、自分たちが魅力的に感じる住みやすい街をつくっていくことが重要だと思います。

沼垂ビール株式会社

沼垂ビール株式会社

無加熱・無ろ過・自然熟成でクラフトビールを製造。生きた酵母が醸し出すコクと苦味のなかに麦芽の甘みを感じる「沼垂ビール」は、全国のビールファンから人気を集めています。

〒950-0075 新潟県新潟市中央区沼垂東1-6-1
電話:025-383-8720
FAX:025-383-8980
HP:http://nuttaribeer.co.jp/
facebook:https://www.facebook.com/nuttaribeer/

沼垂ビール株式会社

ビールの味わい方を大きく変えるスタイル、沼垂ビール!